カポネ
【キャスト】トム・ハーディ/リンダ・カーデリーニ/マット・ディロン/カイル・マクラクラン/ノエル・フィッシャー/ジャック・ロウデン
【監督】ジョシュ・トランク
【制作】2020年/アメリカ・カナダ
【日本公開】2月26日(金)新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか、全国順次公開
【配給】アルバトロス・フィルム
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ギャングスター、知られざる最期の時間
史上最もマフィア映画やギャング映画の題材とされてきた実在の人物。それは間違いなく、1920年代アメリカで悪名を轟かせたアル・カポネだろう。禁酒法下のシカゴで酒の密造、 賭博場と売春宿の経営によって荒稼ぎしたカポネは、政治家、 警察、マスコミをことごとく賄賂や買収で手なずけ、20代半ばにして“暗黒街の顔役”にのし上がった。さらに貧困層への慈善事業で庶民の喝采を浴びる一方、敵対する組織は容赦なく攻撃。
“聖バレンタインデーの虐殺”と呼ばれる抗争事件まで引き起こし、約450件の殺人に関与したとされる。 そんなカポネの血塗られた人生を描いてきた映画史に、また新たな一幕が刻まれる。これまで描かれることのなかったカポネの最晩年に光をあてた異色作、その名も『カポネ』。誰もが知るギャングスターの、誰も知らない最期の姿を映し出す、驚愕の実録ドラマがここに完成した。
1940年代半ば、長い服役生活を終えたアル・カポネは、フロリダの大邸宅で家族や友人たちに囲まれ、静かな隠遁生活を送っていた。梅毒の影響による認知症を患い、既にかつてのカリスマ性は見る影もない。一方、FBIのクロフォード捜査官は、カポネが仮病を使っていると疑い、隠し財産1,000 万ドルのありかを探るために監視活動を行っていた。やがて病状が悪化したカポネは現実と悪夢の狭間で奇行を繰り返し、周囲を困惑させていく。
とめどもない狂気と妄想に取り憑かれた暗黒街の帝王、そのあまりにも衝撃的な末路とは……。 カポネの“頭の中”を覗き込むかのように、本作では現実と悪夢が境目なく入り乱れる。意識が混濁したカポネの主観でヴィジュアル化された幻想シーンは、悪夢的なサイコスリラーのようだ。何が事実で、何が虚構なのか。判然としない物語の中でも確かに見えてくるのは、カポネの破壊的な凶暴性と人間的な弱さ。彼は常に孤独で、猜疑心に満ち、何かに怯え続けていた。そして、かつての富も名声も記憶も、全てを失ったカポネが、最期に手にしたものは何だったのか。知られざるギャングスターの姿に、あなたは何を思うだろう。