スーパーノヴァ
【キャスト】コリン・ファース/スタンリー・トゥッチ/ピッパ・ヘイウッド/ピーター・マックイーン
【監督】ハリー・マックイーン
【制作】2020年/イギリス
【Web】https://gaga.ne.jp/supernova/
【日本公開】7月1日(木)よりTOHOシネマズ シャンテにて、他全国順次ロードショー
【配給】ギャガ
©2020 British Broadcasting Corporation, The British Film Institute, Supernova Film Ltd.
終わりを前にしてなお愛し合う二人の絆
愛する人の記憶から、自分の存在が消えてしまうかもしれない。又は、愛する人の記憶に残る最後の自分の姿が、人間の尊厳を失った姿かもしれない──そんな状況に置かれた時、あなたはどんな選択をするだろうか。本作『スーパーノヴァ』は、恋人や家族など何らかの形で誰かを愛したことがある人、愛の喪失を経験したことがある人、全ての人が共感できる物語だ。
ピアニストのサムと作家のタスカーは、ユーモアと文化をこよなく愛する20年来のパートナー。ところが、ゆっくりと記憶をなくしていくというタスカーの病が、かけがえのないふたりの思い出と、添い遂げるはずの未来を消し去ろうとしていた。それぞれが密かに思い描いていた結末が全く異なるものだったと知った時、二人が決めた覚悟とは──。不器用で無口だが胸の奥に熱い愛情を燃やし続けるサムをコリン・ファースが、人を惹きつける才能と魅力に溢れ、周囲に光と笑いをもたらすタスカーをスタンリー・トゥッチが演じた。
本作の見どころの一つは、生き生きと息づくサムとタスカーの強い絆だ。95分という短い時間の中で、二人の過去は明確には描かれていない。それでも二人がふとした瞬間に交わす視線や佇む後ろ姿だけで、互いへの思いやりを完璧に表現していることに、観客は驚かされるだろう。それを可能にしたのは、コリンとスタンリーの友情。二人は実生活においても20年来の友人であり、最初にオファーされたスタンリーが、サムとタスカーの本物の絆を描くために、友人であるコリンに自ら(独断で)脚本を渡して2人の共演が実現した。
印象的なタイトル「スーパーノヴァ(超新星)」は、星の進化の最後に起こる巨大な爆発のこと。監督はこれが「どんな時も明るい一方で死に向かうタスカーを象徴している」と語る。本作では死を迎える人が向き合う末期の決断という普遍的なテーマを描きつつも、どうするべきかをはっきりとは示唆せず、結論を観客に委ねている。年齢や性別に関係なく、生きている限り誰もが避けられない、愛する人との別れの時。二人の姿は私たちに、人を愛するとは何かを教えてくれる。