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ハッピー・オールド・イヤー

日本発の「断捨離」が、世界中で話題となったのは記憶に新 しいところ。家にあるいらない物は極力なくし、本当に必要な 物だけ残す。捨てる、捨てないの基準は「ときめく」かどうか。 そんな断捨離は確かに、物で溢れた人々の暮らしを綺麗に整頓 し、心にゆとりを生んでくれるだろう。しかし、物を捨てるの はそう簡単じゃない。無用に思える物も、そこに友達や恋人、 家族との思い出がこもっているから厄介だ。本作『ハッピー・ オールド・イヤー』は、そんな断捨離をちょっと無理矢理にで も進めようとする女性と、その周りの人々の姿を描いていく。

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2020年12月号

【キャスト】チュティモン・ジョンジャルーンスックジン/サニー・スワンメーターノン/サリカー・サートシンスパー ティラワット・ゴーサワン/パッチャー・キットチャイジャルーン/アパシリ・チャンタラッサミー

【監督】ナワポン・タムロンラタナリット

【制作】2019年/タイ

【Web】http://zaziefilms.com/happyoldyear

【日本公開】2020/12/11(金)シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー

【配給】ザジフィルムズ、マクザム

ⓒ2019 GDH 559 Co., Ltd.

「断捨離」で気付く、捨て切れなかった気持ち

日本発の「断捨離」が、世界中で話題となったのは記憶に新 しいところ。家にあるいらない物は極力なくし、本当に必要な 物だけ残す。捨てる、捨てないの基準は「ときめく」かどうか。 そんな断捨離は確かに、物で溢れた人々の暮らしを綺麗に整頓 し、心にゆとりを生んでくれるだろう。しかし、物を捨てるの はそう簡単じゃない。無用に思える物も、そこに友達や恋人、 家族との思い出がこもっているから厄介だ。本作『ハッピー・ オールド・イヤー』は、そんな断捨離をちょっと無理矢理にで も進めようとする女性と、その周りの人々の姿を描いていく。

物語の舞台はタイ・バンコク。デザイナーのジーンは、スウェーデン留学で“ミニマルなライフスタイル”を学び、帰国 後は母と兄と三人暮らしの自宅を綺麗にリフォームすることを 思い立つ。自宅はかつて父が音楽教室を営んでいた名残を残 し、物で溢れかえっている状態。リフォームを計画通りに進め るには年内に家を空っぽにしないといけないが、もう 11 月 25 日だ。時間がないジーンは大量に買ったゴミ袋に、家中の物を片っ端から投げ捨てていく。

雑誌は必要なページだけ写真を撮 れば OK。CD はストリーミングの時代だからさようなら。し かし、大きくて邪魔なグランドピアノの処分は母の大反対に遭 う。プレゼントしてもらった物を捨てようとして、友人とは喧 嘩になってしまった。なかなか片付けが上手くいかないジーンは、ひとまず人から貰った物を持ち主に返していくことにする。 ピアス、レコード、楽器、元彼のカメラもあった。やむなくジー ンは避けていた元彼の家を訪れることにするのだったが……。

誰しも、うやむやに終わった人間関係ってあるんじゃなかろうか。別れの言葉もなく離れた恋人。いつの間にか疎遠になった友。どこかに行ったきり、それ以来の家族。ジーンは断捨離 を通して、そういった過去と向き合い、片付けきれなかった人間関係をも清算していく。全て捨てて綺麗さっぱりとは全然いかない。物が覆い隠してくれていた心の穴に気付いたりもする。 合理性だけが人生の価値?本当に大事な物って何?そんなことを本作は改めて考えさせてくれる。

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