ARCO アルコ
【監督】ウーゴ・ビアンヴニュ
【制作】2025年/フランス
【日本公開】4/24(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
【配給】AMGエンタテインメント ハーク
©2025 Remembers / mountainA / France 3 CINEMA
作家のビジョンが貫かれた“家族のためのSF”
スタジオジブリ以降、伝統的な2Dアニメーションは大手スタジオから次第に遠ざかり、3DCGやフランチャイズ展開を前提とした“企業アニメーション”が主流となった。『ARCO/アルコ』はその中にあって敢えて手描き2Dという古典的手法を選び、5年をかけて完成した作品だ。
気候変動によって荒廃した2075年の地球。拡張現実や環境問題などが人間性を奪う世界で、10歳の少女イリスはホログラム越しにしか親と会えず、弟とともにロボット保育者に育てられている。ある日彼女は、虹色の光を放ちながら空から落ちてきた謎の物体を目撃。さらなる未来である2932年から来た少年アルコと邂逅する。帰還手段を失ったアルコと、閉塞した世界に生きるイリス。二人は“虹の道”を探す旅へと踏み出す。
本作を手掛けたフランスの作家・アニメーターのユーゴ・ビヤンヴニュは、「子ども向けだから」と嘘をつくのではなく、大人と子どもが同じ体験を共有できる“家族のためのSF”を目指した。当初は脚本と絵コンテに2年半を費やすも資金調達は難航。自分たちの貯金を投じてアニマティックを制作し、作品像を具体化することで突破口を開いた。さらにナタリー・ポートマンらの支援を得たことで約130名のチームで本制作を進め、手描きの質感と大規模制作の効率を両立させたという。
完成した映像は、森や雲、雨や炎といった自然の描写が緻密で美しく、観る者の心を強く惹きつける。レネ・ラルーやメビウスの系譜を思わせつつ、その画風や「少年の視点を中心に据え、自分の居場所を探す感情を体験として描く」手法は宮崎駿にも通じる。本作はアヌシー国際アニメーション映画祭でクリスタル賞(長編部門)を受賞。アカデミー賞長編アニメーション部門にもノミネートされ、作家のビジョンが貫かれたインディペンデント作品として高く評価されている。
未来が私たちを救うのではなく、未来を守るために今を生きる私たちが変わらなければならない─虹を見るたび、少しだけ未来を信じたくなる。そんな余韻を静かに残す一作だ。
