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ビートルズがいた夏

1965年8月、ビートルズの4人が、音楽史上初となるスタジアム・コンサートを行うためニューヨークに降り立った。マンハッタンの街には熱狂が渦巻き、大勢の若いファンたちが通りを駆け巡る。抑えきれない情熱を語るファンたちのインタビューが随所に挿入され、自分もその場に居合わせているかのような高揚感を観客に与えてくれる。

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2026年7月

【キャスト】トミー・マッケイブ/テレーズ・アザラシェア・グラント /サラ・マクラスキー(いずれも声優として出演)

【監督】アンドレイ・ウジカ

【制作】2023年/フランス・ルーマニア

【Web】http://twst.onlyhearts.co.jp/

【日本公開】2026年7月4日(土)、シアター・イメージフォーラムほか全国順次公開

【配給】オンリー・ハーツ

©LES FILMS CAMÉLIA, MODERN ELECTRIC PICTURES, TANGAJ PRODUCTION, ARTE FRANCE CINÉMA, L’INSTITUT NATIONAL DE L’AUDIOVISUEL, 2024

いつか思い出す。今日話した色んなことを

1965年8月、ビートルズの4人が、音楽史上初となるスタジアム・コンサートを行うためニューヨークに降り立った。マンハッタンの街には熱狂が渦巻き、大勢の若いファンたちが通りを駆け巡る。抑えきれない情熱を語るファンたちのインタビューが随所に挿入され、自分もその場に居合わせているかのような高揚感を観客に与えてくれる。

やがて物語はビートルズから一度距離を置き、二人の主人公の視点を軸に展開していく。モノクロで描かれる第1部の主人公は、ジェフリーという作家志望の少年だ。彼がある日目にしたのは、テレビニュースが映し出すロサンゼルスのワッツ暴動だった。「現実とは思えない光景。まるで戦争映画だ」と衝撃を受けたジェフリーは、黒人市民たちが暮らす街を歩き、その生活環境や経済的困難を自らの感覚で受け止めていく。

一方、カラーで撮影された第2部では、ビートルズのコンサートを目指して友人たちと旅をする若いファン、ジュディスが主人公を務める。ラジオ番組のランキングでビートルズの楽曲が低順位に置かれていることに不満を漏らしたり、万国博覧会ではしゃぎながら「夢は選べると信じたい だからお断りよ色のない夢なんて」と明るく歌ったりする彼女たちのカラフルさは、白人警官と黒人市民の対立が色濃く刻まれたモノクロの第1部とは、別の世界のように映る。

興味深いのは、本作がこの対照的な二人の主人公を、単純に対立させるでもなく、無関係な存在として切り離すでもなく、ビートルズという巨大な社会現象を通してゆるやかに交錯させている点だ。この展開を、若者文化と深刻な社会問題が結びついたカウンターカルチャーの胎動と見ることもできるだろうし、「世界は一見分断されているようでいて、些細なきっかけで混ざり合うものだ」とも捉えられるかもしれない。原題となった楽曲「Things We Said Today」に通じるノスタルジックな情緒も、本作の大きな魅力。ビートルズという時代そのものの熱狂を媒介にしながら、1960年代アメリカ社会の空気と揺らぎが作品いっぱいに詰まっている。

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