アナザーラウンド
【キャスト】マッツ・ミケルセン/トマス・ボー・ラーセン/マグナス・ミラン/ラース・ランゼ/マリア・ボネヴィー
【監督】トマス・ヴィンターベア
【制作】2020年/デンマーク
【Web】https://anotherround-movie.com
【日本公開】9月3日(金)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、渋谷シネクイントほか全国公開
【配給】クロックワークス
©2020 Zentropa Entertainments3 ApS, Zentropa Sweden AB, Topkapi Films B.V. & Zentropa Netherlands B.V.
人生は「血中アルコール濃度0.05%」で上手くいく!?
「血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと、仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」。これは実在のノルウェー人哲学者が提唱した理論だという。チャーチルやチャイコフスキー、ヘミングウェイ……数多の傑人も酒を飲み、勇気やひらめきを得ていたとか。そんな事実にかこつけて、4人の教師たちがとんでもない実験を始める。仕事中に酒を飲み、常にほろ酔い状態で授業をしてみたらどうなるか──。
本作『アナザーラウンド』は、酒が人生に与える悲喜こもごもをユーモラスに描いた人生讃歌だ。アカデミー賞国際長編映画賞を受賞し、その愛すべき登場人物と物語に世界中が酔いしれている。主人公のマーティンは仕事も家庭も上手くいかない、うだつの上がらぬ歴史教師。そんなある日、同僚の心理学教師ニコライの誕生日を祝うため、体育教師のトミー、音楽教師のピーターと4人で集まった。ただ一人水を飲むマーティンに、ニコライは言う。「君に欠けているのは自信と楽しむ気持ちじゃないのか?」。
哲学者の「血中アルコール濃度0.05%理論」まで吹き込まれたマーティンは、ついに酒を口にし、えも言われぬ高揚感を覚えるのだった。その翌日から4人の“実験”が始まる。論文にまとめるという口実で、こっそり校内で酒を飲み、アルコール濃度を0.05%にキープ。すると、それぞれが独創的な授業を繰り広げ、生徒たちにも変化が表れ、家庭では妻との会話も増え、何だか良い感じだ。手応えを得た4人は、さらに高い効果を得ようと濃度制限を撤廃。そうして4人のアルコール濃度はたがが外れていくのだったが……。
日本においても酒好きの文豪は数多く、自身の回りでも「酒を飲んだほうが良い文章を書けるかも?」という議論は少なからずある。アルコールの負の側面から目を背けるわけにはいかないが、時には酒に飲まれて何もかも忘れたい日だってあるだろう。「ただ『生きている』のではなく、本当の意味で『生きること』について考える映画にしたかった」とヴィンターベア監督。笑い、呆れ、涙して──。酩酊と狂喜乱舞の果てで全ての人生に祝杯をあげる、新たな傑作がここに誕生した。