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明け方の若者たち

「私と飲んだ方が、楽しいかもよ?笑」── その16文字から始まった、沼のような5年間。東京・明大前、内定を決めた者のみが集う「勝ち組飲み会」に参加した〈僕〉は、そこで出会った〈彼女〉に運命的な恋をする。

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2021年12月号

【キャスト】北村匠海/黒島結菜/井上祐貴/楽駆/菅原健/高橋春織/三島ゆたか/岩本淳/境浩一朗/永島聖羅/わちみなみ/新田さちか/木崎絹子/田原イサヲ/寺田ムロラン/宮島はるか/佐津川愛美/山中崇/高橋ひとみ/濱田マリ

【監督】松本花奈 【脚本】小寺和久

【原作】カツセマサヒコ『明け方の若者たち』(幻冬舎文庫)

【制作】2021年/日本

【Web】http://akegata-movie.com/

【日本公開】12月31日(金)全国ロードショー

【配給】パルコ

©カツセマサヒコ・幻冬舎/「明け方の若者たち」製作委員会

何者にもなれない灰色の日々、〈彼女〉は〈僕〉のすべてだった

「私と飲んだ方が、楽しいかもよ?笑」── その16文字から始まった、沼のような5年間。東京・明大前、内定を決めた者のみが集う「勝ち組飲み会」に参加した〈僕〉は、そこで出会った〈彼女〉に運命的な恋をする。

一流企業に就職した〈僕〉の日常はひどく退屈なもので、冴えない毎日の繰り返しに嫌気が差す。思い描いていた人生とは何だったのか。“こんなハズじゃなかった”と打ちひしがれる〈僕〉を支えてくれたのは、明るく前向きで、常に希望に満ち溢れた〈彼女〉と親友の存在。明け方まで飲み明かし、子どものように夢を語った。朝日に背を向けがむしゃらに駆け抜けた青い日々。〈僕〉の“こんなハズじゃなかった”人生は〈彼女〉によって満たされていく。

「楽しいこと全部やっとかないと、何だっていつかは終わるよ」──刹那的に始まった恋で世界が染まっていく一方で、ふとした瞬間に感じる〈彼女〉に巣食う空白。〈僕〉は見て見ぬ振りをした。最初から分かっていたからだ。この夢のような時間に、いつか終わりが来ることを ──。
本作は、ツイッターでの“恋愛・妄想ツイート”が若い女性の間で話題を呼ぶフリーライター・カツセマサヒコの同名小説を23歳、新進気鋭の映画監督である松本花奈が映像化。そして、Netflixオリジナルシリーズ『新聞記者』などを手掛け、『過ぎて行け、延滞10代』(17年)でも松本とタッグを組んだ小寺和久が脚本を担当。人生最大の恋に落ち、最愛の〈彼女〉によって心が満ちていく一方で、社会人となり理想とは異なる現実に打ちのめされる〈僕〉。恋愛、友情、仕事──様々な感情が交錯する若者のリアルな葛藤を描いた青春劇が、ここに誕生した。

“こんなハズじゃなかった”と嘆き、“何もかも思い通りにならない”と悩みながらも懸命に生きたあのころ。そんな“若者”であったかけがえのない時間は切なかったり、けれどじんわり温かかったり……。もう二度と戻ってこない“人生のマジックアワー”を思い返し、誰もが胸を熱くする作品だ。

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