Twitterのアイコン Facebookのアイコン はてなブログのアイコン

PLAN 75

超高齢社会に対応すべく、75 歳以上の高齢者が自ら死を選び、それを国が支援する制度──「PLAN 75」が施行された近未来の日本。夫と死別し、ひとり静かに暮らす78 歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまう。

記事をpdfで見る(画像クリックで別ウィンドウ表示)

記事または映画評のサムネイル画像(A4用紙サイズ/縦長)

2022年6月号

【キャスト】倍賞千恵子/磯村勇斗/たかお鷹/河合優実/ステファニー・アリアン/大方斐紗子/串田和美

【監督】早川千絵

【制作】2022 /日本

【Web】https://happinet-phantom.com/plan75/

【日本公開】2022 年6 月17 日(金)より、新宿ピカデリーほか全国公開

【配給】ハピネットファントム・スタジオ

©2022『PLAN 75』製作委員会/Urban Factory/Fusee

「生きる」とは何か──。

超高齢社会に対応すべく、75 歳以上の高齢者が自ら死を選び、それを国が支援する制度──「PLAN 75」が施行された近未来の日本。夫と死別し、ひとり静かに暮らす78 歳の角谷ミチは、ホテルの客室清掃員として働いていたが、ある日突然、高齢を理由に解雇されてしまう。そして住む場所も失いそうになった彼女は、「PLAN 75」の申請を検討し始める。一方、「PLAN 75」申請窓口で働く市役所職員のヒロムや、申請者を、その日が来るまで電話でサポートするコールセンタースタッフとして働く瑶子らは、この制度の在り方に疑問を抱くようになる。

2018 年に是枝裕和監督が総合監修を務め、様々な角度から日本の未来を描いたオムニバス映画「十年 Ten Years Japan」の一編として発表された短編「PLAN75」。同作品を手掛けた早川千絵監督自ら新たに構築、キャストを一新した本作品は、監督のオリジナル脚本による、初の長編映画となっている。

年齢による「命の線引き」というセンセーショナルなモチーフを打ち出しつつも、懸命に生きる人々の姿を、繊細かつ丁寧に描いた今作は、初長編監督作にして第75 回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門に出品された。

主演は映画『男はつらいよ』シリーズに出演し、不動の人気を誇る名優、倍賞千恵子。他にも2022 年の日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した磯村勇斗、NHK 大河ドラマ「鎌倉殿の13 人」などに出演するたかお鷹、ドラマ「あなたの番です」の大方斐紗子、映画『サマーフィルムにのって』などで、多くの新人賞を獲得した新鋭・河合優実、演出家としても活躍する串田和美らが名を連ねる。

2000 年代初頭に「超高齢社会」へ突入した日本。今後も高齢者率は高くなると予測され、2025 年には高齢者が人口の約30%、2060 年には約40%に達すると見られている。現代の日本社会への痛烈な批判を込めて、「生きる」とは何かを、すべての世代に問いかける本作品。ぜひ劇場で、主人公・ミチが選ぶ結末を見届けてほしい。

view more-映画の一覧へ-