クライムズ・オブ・ザ・フューチャー
【キャスト】ヴィゴ・モーテンセン/レア・セドゥ/クリステン・スチュワート
【監督】デヴィッド・クローネンバーグ
【制作】2022年・カナダ・ギリシャ
【日本公開】8月18日(金)より新宿バルト9ほか全国公開
【配給】クロックワークス/STAR CHANNEL MOVIES
© Serendipity Point Films 2021
カラダから生み出されるのは、希望か?罪か?
そう遠くない未来、人類は人工的な環境に適応するよう進化し続け、体の生物学的構造も変容し、痛みも消えた。パフォーマンスアーティストで“加速進化症候群”のソール・テンサーは、自らの体内で次々と生み出される臓器を、パートナーのカプリースが手術で切除するという前衛的なパフォーマンスを行っており、ショーのチケットは完売するほどの人気を呼んでいた。しかし政府は人類の誤った進化と暴走を監視するため“臓器登録所”を設立。特にソールには強い関心を持っていた。そんな彼の元に、生前プラスチックを食べていたという少年の遺体が持ち込まれる……。
このあらすじを聞いただけで、ストーリーの斬新さ、不穏さにぎょっとした人は少なくないはずだ。本作は第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、退出者が続出したことでも話題となっている。そんな本作のメガホンを取ったのは、デヴィッド・クローネンバーグ監督。新作を発表する度に映画界を騒然とさせる鬼才として、世界中に熱狂的なファンが多い。そして主演のソールを演じるのは本作が監督との4度目のタッグであり、監督に絶対的な信頼を置くヴィゴ・モーテンセン。さらにフランスを代表する実力派女優のレア・セドゥと、公私共に世界の注目を集めるクリステン・スチュワートという豪華キャストが脇を固める。特に物語の不気味さや謎に拍車をかけるクリステン・スチュワートの怪演には、ぜひ注目してほしい。
本作は監督が20年間温め続けて完成したことでも注目を集めている。このタイミングで動き出した理由について監督は「世界中の人々が様々な社会問題を強く意識するようになり、この映画をつくることが説得力を持つ時だと実感したから」と語る。その言葉通り、本作では気候・環境問題など、人類がテクノロジーの進化によって作り出してしまった諸問題を、人体を進化させることで解決できるかどうか、またそれによって起こる混乱を描いている。人類が辿り着くかもしれない未来──この物語の結末を想像できる人は、いないはずだ。