ハント
【キャスト】イ・ジョンジェ/チョン・ウソン/チョン・ヘジン/ホ・ソンテ/コ・ユンジョン/キム・ジョンス/チョン・マンシク
【監督】イ・ジョンジェ
【制作】2022年・韓国
【Web】https://klockworx.com/huntmoviejp
【日本公開】9月29日(金)より新宿バルト9ほか全国公開
【配給】クロックワークス
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全員容疑者──裏切り者は味方の中にいる
全斗煥大統領が独裁政治を敷いた1980年代の韓国。国家安全企画部(旧KCIA)の海外次長であるパクと国内次長のキムは組織内に入り込んだ北朝鮮のスパイ「トンニム」を探し出す任務を任され、それぞれが捜査を始める。前大統領暗殺事件の際、キム次長は当時KCIAだったパク次長を10日間尋問したこともあって、二人は因縁の仲だ。二重スパイを見つけなければ自分たちが疑われるかもしれない。そんな緊迫した状況下で、どちらも互いをトンニムと見なして捜査を進める中、大統領暗殺計画を知り、巨大な陰謀に巻き込まれていく──。
本作『ハント』の脚本・監督は、世界中で一大ブームを巻き起こしたサバイバルドラマ「イカゲーム」のイ・ジョンジェ。韓国内でも実力派俳優として名高く、世界的スターにもなった彼が、4年間温めてきたシナリオを元に初監督したことでも大きな話題を呼んでいる。また、W主演を務めたのは、盟友チョン・ウソン。20数年来の友人である二人は、息の合ったコンビネーションで観客を魅了する。本作は第75 回カンヌ国際映画祭ミッドナイト・スクリーニング部門で上映されると約7分間のスタンディングオベーションを受けるなど、世界中の映画祭を席巻。数々の映画賞で新人監督賞を受賞した。
本作の魅力は多々あるが、中でも目を引くのはカメオ出演の俳優陣がこれでもかと豪華なこと。主役級の面々が作品を隅々まで引き立てている。さらに舞台はアメリカ、東京、タイへと広がるが、それらは全て韓国内で撮影された。80年代の雰囲気を忠実に再現するこだわりが、実際の歴史と並走する物語をよりリアルなものにしている。
本作はジャンルとしてはスパイ・アクション映画だが、イ・ジョンジェは「自身の信念や信条に葛藤を抱く人々の物語」と語る。情報過多の現代、私たちはメディアなどの歪んだ視点を通して偏った真実を信じてしまう。そうした扇動は往々にして暴力や戦争を生む。そんな間違ったイデオロギーを支持する危険性と、自分たちが良心を持ち、その過ちに自ら気づいて正すことの大切さを、この物語は教えてくれる。