Twitterのアイコン Facebookのアイコン はてなブログのアイコン

BEAU IS AFRAID ボーはおそれている

『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』という映画史に残るホラー作品を手掛け、モダンホラーの傑出した巨匠として地位を確立したアリ・アスター監督による長編第3作目。ブラックコメディ的な要素や超現実的な展開など様々な見所を備える本作に対し、俳優のエマ・ストーン、マーティン・スコセッシ監督、ポン・ジュノ監督、ギレルモ・デル・トロ監督ら、錚々たるクリエイターたちが支持を表明。その一方で、物議の渦が全世界へ広がる、超問題作に仕上がっている。

記事をpdfで見る(画像クリックで別ウィンドウ表示)

記事または映画評のサムネイル画像(A4用紙サイズ/縦長)

2024年2月

【キャスト】【キャスト】ホアキン・フェニックス/ネイサン・レイン/エイミー・ライアン/パーカー・ポージー/パティ・ルポーン

【監督】アリ・アスター

【制作】2023年/アメリカ

【Web】https://happinet-phantom.com/beau/%20%20%20

【日本公開】2024年2月16日(金)全国ロードショー

【配給】ハピネットファントム・スタジオ

ⓒ 2023 Mommy Knows Best LLC, UAAP LLC and IPR.VC Fund II KY. All Rights Reserved.

『ミッドサマー』監督が満を持して放つ問題作

『ヘレディタリー/継承』『ミッドサマー』という映画史に残るホラー作品を手掛け、モダンホラーの傑出した巨匠として地位を確立したアリ・アスター監督による長編第3作目。ブラックコメディ的な要素や超現実的な展開など様々な見所を備える本作に対し、俳優のエマ・ストーン、マーティン・スコセッシ監督、ポン・ジュノ監督、ギレルモ・デル・トロ監督ら、錚々たるクリエイターたちが支持を表明。その一方で、物議の渦が全世界へ広がる、超問題作に仕上がっている。

主人公は、市内のアパートで一人暮らしをしている、不安と妄想に陥りがちなボーという中年男性。ボーはある日、母親が怪死したという連絡を受け、母親のもとに駆けつけようとアパートを飛び出す。しかし、外の世界は激変していた。夢か現か分からない状態で、実家にたどり着くことができない。ボーは地図に載らない道を旅しながら、生まれてから今までの人生が、転覆してしまうような体験をする……。

アスターが本作のアイデアの種を得たのは、実は約10年前に遡るという。初監督作にしたいとも考えていたが最終的には見送り、『ミッドサマー』の後に「本作を作る時が来た」と感じて徹底的にリライトを行い、作品を作り上げたそうだ。

毛色は前2作と大きく異なるが、アスターならではの持ち味は健在だ。独創的で美しい画面作り、建築物へのこだわり、複雑なストーリーでありながら、ぐいぐい引きこんで観る者を離さない展開。そしてとても奇妙な内容なのに、誰かの実体験をトレースしたのではと考えてしまうほどリアルで、壮絶な感情描写と、迫真の“当事者感”に圧倒されてしまう。ちなみにアスターによると、「観客には、ボーの頭の中に入って、感情を肌で感じてもらいたい。できれば細胞レベルでね。主人公と同じ気持ちになって一緒に行動するけど、彼が歩む道をたどるというより、彼の記憶や幻想、恐怖を体験するんだ。これはボーの人生を体験する映画だよ」とのことだ。そして本作の特報映像のラストで穏やかな笑みを浮かべて一言──「みんな、どん底気分になればいいな」。

view more-映画の一覧へ-