顔 -かお-
【キャスト】パク・ジョンミン『密輸1970』/クォン・ヘヒョ『新感染半島 ファイナルステージ』/シン・ヒョンビン「賢い医師生活」/イム・ソンジェ『非常宣言』/ハン・ジヒョン『啓示』
【原作】ヨン・サンホ『新感染 ファイナル・エクスプレス』
【制作】2025年/韓国
【日本公開】8月28日(金)新宿武蔵野館、 ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
【配給】ツイン
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その顔を、覗く勇気はありますか?
2026年8月28(金)より公開の『顔 −かお−』は、『新感染 ファイナル・エクスプレス』で世界的なヒットを飛ばしたヨン・サンホ監督による、人間の本性に鋭く切り込む心理サスペンスだ。
盲目の老人イム・ヨンギュは、韓国随一と称される篆刻家。先天性の視覚障害というハンデを乗り越えて美を極めてきたその歩みはメディアでも取り上げられ、“生きる奇跡”として称賛されてきた。唯一の肉親である息子・ドンファンもまた、ヨンギュを心から敬愛し、篆刻工房を営む父を支えている。
そんなある日、ドンファンのもとに警察から思いもよらぬ知らせが届く。ヨンギュの妻であり、ドンファンの母でもあるチョン・ヨンヒの白骨化した遺体が発見されたのだ。ヨンヒは、ドンファンが生まれて間もなく家を出て以来、消息不明となっていた女性。彼にとっては顔さえ知らない母だった。
さらに葬儀場にはヨンヒの二人の姉が現れ、幼いころに絶縁した妹への恨みをドンファンにぶつける。「顔が化け物のように醜かった」「幸せだった家族を、あの化け物がかき乱した」─思いもしなかった侮辱の言葉に、戸惑うドンファン。彼女たちもまたヨンヒの写真を持っておらず、母という存在への謎は深まるばかり。その話に興味を抱いたドキュメンタリー番組を制作するプロデューサーに導かれ、ドンファンは母がかつて勤めていた職場の同僚を訪ねることになるのだが……。
本作の舞台の一つである1970年代の韓国は、高度経済成長の真っ只中にあり、生産性や効率性が何よりも優先された時代だった。その陰で、「差別」や「いじめ」の当事者が抱える苦しみは、社会の片隅へと追いやられていく。チョン・ヨンヒの人生は、そうした「弱き者」の痛みを浮かび上がらせている。
そして作品の核をなす、「美醜」という普遍的なテーマ─人は何を以て他者を美しいと感じ、醜いと判断するのか。本作はその答えを声高に語ることも、明確な結論を示すこともしない。それでもスクリーンに映し出される一つひとつの場面が、観る者に静かな問いを投げかける。そして心の奥底にしまい込んでいた価値観を揺さぶってくるのである。
