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URCHIN/アーチン

『URCHIN/アーチン』は、『逆転のトライアングル』や『ベイビーガール』でブレイクした俳優ハリス・ディキンソンの長編監督デビュー作だ。「モテないクズは、ただのクズだ」のキャッチコピーの通り、クズがクズを全うするアンビバレント・ムービーであり、人生をやり直そうと意気込んでもリセットされてしまう悲哀が描かれている。

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2026年10月

【キャスト】フランク・ディレイン/メーガン・ノーサム/ハリス・ディキンソン/カリーナ・ヒムチュク/ショーナ・マリー/アムール・ワケド/オケジー・モロ/バクソ・ディロン=ウーリー/ダイアン・アクスフォード/ルパート・プロクター/アガ・コワル

【監督】ハリス・ディキンソン

【制作】2025年/イギリス

【Web】https://cinema.starcat.co.jp/urchin/

【日本公開】10月23日(金)、新宿武蔵野館、HTC渋谷ほか全国公開

【配給】スターキャットアルバトロス・フィルム

@Dream Space Films Ltd/British Broadcasting Corporation/The British Film Institute2025

モテないクズは、ただのクズだ

『URCHIN/アーチン』は、『逆転のトライアングル』や『ベイビーガール』でブレイクした俳優ハリス・ディキンソンの長編監督デビュー作だ。「モテないクズは、ただのクズだ」のキャッチコピーの通り、クズがクズを全うするアンビバレント・ムービーであり、人生をやり直そうと意気込んでもリセットされてしまう悲哀が描かれている。驚かされるのは、初長編監督作とは思えない手腕で、生々しい感情と独自のビジョンをスクリーンに焼き付けている点。匂いまで立ち込めるような生活感、人間の心の機微を知り尽くしたかのごとき丹念な心理描写、登場人物に密着した鋭いカメラワーク、繰り返し現れるモチーフと忘れがたい美しいショットが織りなす幻想感、効果的に挿入される楽曲の数々……。いずれも妥協がなく、先人たちへの敬意に溢れながらも、その模倣に留まらない独自の芸術的表現を確立している。

ディキンソンは10代で初監督を務め、これまで4本の短編を手掛けてきたという。才能にいち早く着目したBBC Filmsにより、本作は脚本開発から支援されてきた。さらに長期間、専門家のアドバイスを受けながら改稿を重ねてきたそうだ。マイク・リーやケン・ローチといった社会派の監督が原点だというディキンソンは、労働者階級の切実な状況を描くことでその路線を踏襲しつつ、ユーモアを交えながら一人の人間に寄り添う、独自の手法を取った。またスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』を観て「魔法のように壮大でありながら作家主義的とも両立できる、別の種類の映画がある」と気づいたそうで、ポール・トーマス・アンダーソンの『パンチドランク・ラブ』などをスタッフに観せて指針の一つとしたという。本作の単なる社会派映画に留まらない味わいは、そうした多角的な視点と、作品に注ぎ込まれた膨大な労力の賜物なのだろう。

どこか憎めない主人公の悪戦苦闘ぶりに同情しつつ笑っていたら、気づけば鏡の前に立たされていたような、綿密な描写に基づくリアリズムと展開の妙を味わえる本作。クズがどこまでもクズな映画、社会派作品、スタイリッシュなインディペンデント映画……様々な映画好きにオススメしたい渾身の一作だ。

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