ライフ・イズ・カラフル!
未来をデザインする男ピエール・カルダン
【キャスト】ピエール・カルダン ジャン・ポール・ゴルチエ/シャロン・ストーン ナオミ・キャンベル/森英恵/高田賢三/桂由美
【監督】P.デビッド・エバーソール&トッド・ヒューズ
【制作】2019年/アメリカ・フランス
【日本公開】2020年10月2日(金)テアトル梅田、なんばパークスシネマ シネ・リーブル神戸 他、全国順次ロードショー
【配給】アルバトロス・フィルム
©House of Cardin - The Ebersole Hughes Company
ファッション界の生ける伝説を描いたドキュメンタリー
モードファッション界の発展に大きく貢献した、生ける伝説「ピエール・カルダン」は御年98歳。本作ではもうすぐ100歳を迎える彼の半生を、彼をよく知る人々─ジャン=ポール・ゴルチエ、シャロン・ストーン、ナオミ・キャンベル、森英恵、高田賢三、桂由美など、そうそうたるメンバーたちのインタビューを交えて描かれている。
カルダンには数々の偉業があるが、ここで紹介したいのが、カルダンの日本との関わりである。カルダンは1958年に初来日し、1カ月に亘り東京で立体裁断講座を開講。日本のファッション界を牽引する、桂由美、森英恵、高田賢三などもその講義を受講しており、平面裁断が主流だった日本に新風をもたらした。その技術は今も『文化学園大学』で伝えられている。
そして、受講生だった森英恵の紹介で、後のミューズとなる松本弘子と出会うことになる。カルダンの猛アプローチにより、松本弘子は1960年に渡仏し、パリコレモデルとして活躍した。この時代は白人モデルが主流で、松本弘子や黒人モデルを起用したカルダンの行動は、モード界の逆鱗に触れ、組合から除名される結果となるが、今は多様性の時代。彼の先進的な姿勢があったから、世界のファッション界が発展したと言っても過言ではないだろう。
本作のメガホンを取ったのは、プライベートでもカップルであるP.デビッド・エバーソールとトッド・ヒューズである。二人は、カルダンの足跡をたどって世界中を回り、彼から影響を受けた多くの人々に取材を行った。完成した映画を観たカルダンから「すべて真実だ!」とのメッセージを受けた際は、尊敬するカルダンからのコメントに「アカデミー賞を受賞するよりも嬉しい」と表現している。
「カルダンはどんな人物か」という問いに対して、皆違う想いを持っていたが、いずれの感想にもカルダンへの敬意が込められていた。一言では語り尽くせない、知れば知るほどその魅力の虜になってしまうピエール・カルダン─彼の伝説はこれからも色褪せることはないだろう。