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THE CROSSING
〜香港と大陸をまたぐ少女〜

「逃亡犯条例改正案」に対する大規模デモが記憶に新しい香港。共産党の一党独裁である中国にありながらも、いわゆる「一国二制度」によって、香港は高度な自治が認められている。民主主義や言論の自由が守られ、通貨もパスポートも教育制度も中国大陸とは別だ。

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2020年11月号

【キャスト】【キャスト】ホアン·ヤオ(黄堯)/スン·ヤン(孫陽)/カルメン·タン(湯加文) ニー·ホンジエ(倪虹潔)/エレン·コン(江美儀)/リウ·カイチー(廖啓智)

【監督】バイ·シュエ(白雪)

【制作】2018年/中国

【Web】https://www.thecrossing-movie.com/

【日本公開】2020年11月20日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国順次公開

【配給】チームジョイ株式会社

©Wanda Media Co., Ltd

香港と中国、日常と犯罪を、越境する少女の物語

「逃亡犯条例改正案」に対する大規模デモが記憶に新しい香港。共産党の一党独裁である中国にありながらも、いわゆる「一国二制度」によって、香港は高度な自治が認められている。民主主義や言論の自由が守られ、通貨もパスポートも教育制度も中国大陸とは別だ。

『THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~』は、そんな中国と香港を「越境通学」する少女の姿を描く。越境通学とは、中国で居住する香港人学生が、毎日中国・香港の境界線を越え、香港の学校に通学すること。仕事の都合で中国に居住し、この越境通学をせざるを得ない香港人家族も少なくないという。そこに加えて、本作が描くもう一つの問題が「香港・中国間の密輸」。関税の優遇措置によって、香港では電子機器やブランド品などが中国よりも割安で手に入る。そのため香港の商品を中国へ密輸する者が後を絶たないのだという。

本作の主人公は16歳の高校生ペイ。父親は香港出身、母親は中国出身であるが、父親は香港で家庭を持っており、麻雀で生計を立てる母親と二人、中国で暮らしている。家族の愛に満たされず孤独を抱えるペイにとっての心の拠り所は、香港の高校で出会った親友ジョーと過ごす時間。2人は北海道旅行を夢見ているが、裕福な家庭の彼女とは違いペイにはお金がなく、放課後にアルバイトをしてお金を貯めている。そんなある日、ジョーの彼氏ハオを通じて、ペイは香港と深センの間でスマホを密輸するグループとつながりを持つ。当初は困惑しながらも、お金欲しさに密輸団の仲間に入り、危険な裏家業に手を染め始めるペイ。そして密輸団の仕事をこなすうち、ペイはハオと密接な関係になっていくのだった……。

タイトルの「CROSSING」は「横断・渡航」あるいは「交差する」の意でも用いられる。香港と大陸をまたぐだけでなく、貧富、恋と友情、家族と孤独、そして普段の生活と犯罪間。様々な物事が交差する思春期を、ペイは時に瑞々しく、時に憂いを帯びながらも、走り抜けていく。その先で彼女が掴む未来とは─。隣国の今を生きる少女の姿を、見届けてほしい。

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