エンディングノートから始める前向きな終活

“人生のエンディングに向けての活動”と定義される一方、有意義な人生を送るための道しるべとも捉えられるようになった「終活」。自分のため、大切な家族や友人のため、過去を振り返り、これからの未来について考える。「前向きな終活」を通して見えてくる、「想い」を残すことの大切さとは──。

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アンカー2021年12月号

人生を豊かにする前向きな「終活」

「終活」とは、もともとはマス・メディアによって作られた言葉であり、その始まりは2009年「週刊朝日」での連載記事によるものとされている。当初は主に葬儀やお墓に関する内容を指したが、その後、相続、財産、延命治療、遺品整理などの内容が追加され、現在では「死に関する様々な事柄に備えること」と意義付けられている。このことに加え、近年では人生の最期だけを考えるのではなく、残された時間を有意義に過ごすために行なうべきことは何かを考える「前向きな活動」としても捉えられるようになった。
「終活」と聞くと、人生の「終わり」に向けて「活動」するという文字通り、どちらかと言えばシニア層が対象というイメージが強いのではないだろうか。しかしながら、近ごろでは若い世代の間でも終活に興味を持つ人が増加傾向にある。そもそも終活を始めるにあたってタイミングが決められているわけではない。たとえ学生であっても、病気や事故などがいつ自分の身に降りかかるか分からない。そのため、年齢に関係なく誰かに伝えたいこと、自分が病気になった時どうしてほしいかなどを、日ごろからまとめておくことが大切なのだ。

想いを届ける、エンディングノート

とはいえ、何から始めればよいのかと迷ってしまう人も多いのではないだろうか。その第一歩として比較的抵抗なく始められるのが「エンディングノート」の作成である。エンディングノートとは、人生の最期をどう迎えるか、残りの人生をどのように歩んでいくのかを考え、記録しておくことができるツールだ。
注目を集めているその理由の一つとして「、自分の人生を振り返ることができる」というメリットがある。普段の生活において、自身の人生を振り返り、文字として記録しておく機会はそう多くはない。その時の考え、やりたいことや交友関係などを記すことで、自分の「今」を見つめ直すことができるのだ。

エンディングノートに記入する内容は、次のような項目に分類できる。
自分史:名前・生年月日・血液型・住所・連絡先・親族や家族構成とその連絡先など「自分にまつわること」。思い出やエピソードなど、自分の生き方を整理してみることで、今後の人生の道標ともなる。
介護・看病:認知症や重度の脳障害により意思の疎通が図れなくなるかもしれない状況で必要になる。誰に介護してほしい、どんな施設が希望、財産管理は誰に頼みたい、など。
葬儀・お墓:人生最期のセレモニーである葬儀は、結婚式とは違って短い時間で多くのことを決めなければならない。葬儀に呼んでほしい人や遺影に使ってほしい写真、墓の所在地や墓地の使用権者などをまとめておくことで、残された遺族の不安も解消され、落ち着いて対処することができる。
財産・資産:預貯金や株式、生命保険などの財産。また、借金や住宅ローンなどの負債。これらを早い段階から整理しておくことで自分が今持っているものを目に見える形でクリアにすることができ、生命保険の再検討や形見分けの希望など次のステップも見えてくる。

エンディングノートと遺言書の違い

「エンディングノート」は遺言書とは違い、その内容に法的効力はない。しかし、遺言書には何を書いてもいいというわけではない。書くことができるのは「死後」に関してのみとされており、その範囲は法律で厳格に定められている。その点、エンディングノートは、強制力はないながらも遺産相続などについて希望を書ける上、「生きている間」のことについても書くことができる。

自分のため、大切なひとのため ── 明るい未来を見つめた人生設計を

終活は決して暗いもの、人生の終末へ向かうための手順ではない。終活をしたことで、気持ちがスッキリし、以前より人生を楽しく過ごせるようになった、という声が圧倒的に多く、そのネガティブなイメージは変わりつつある。ある日突然、そして平等にやってくる「もしも」の時に備え、自分の人生に後悔を、そして大切な人へ深い悲しみを残さぬよう、想いを届ける「前向きな終活」を始めてみてはいかがだろうか。

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