リモート職場旅行、はじめました

コロナ・ショック以来、私たちは容易に「旅行」を楽しめなくなった。県外や遠方への制限がかかり、旅行会社にも大きな打撃を与えている。そんな中で新たな旅行の楽しみ方として昨今、活況を示しているのが「オンライン体験・旅行」だ。本日はオンライン旅行の中でも社員旅行に特化していることで独自性の高い『旅コレクション』の「リモート職場旅行」をご紹介。第一部ではその内容と魅力を伝え、第二部では同社の荒井佳代子社長にインタビューを行い事業の足跡と展望を伺った。

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センチュリー2021年9月号

「リモート職場旅行」の7つの魅力

オンラインで国内や海外の旅行を「疑似体験」できる「オンライン体験ツアー」が利用者数を伸ばしている。インドの有名占い師の話を聞いたり、イスタンブールで猫の写真を撮影したりと、様々な“体験”ができるユニークなサービスが、リアル旅行が難しくなったコロナ禍の昨今にあって、活況を示しつつあるのだ。1984年設立の旅行会社『旅コレクション』が、社員旅行・視察旅行を専門とする「職場旅行.com」にて手掛ける「リモート職場旅行」もまた、独自性と利用者からの満足度の高い注目のサービスの一つ。同社のサービスの強みとは、どのようなところにあるのだろうか。

【魅力1】現地を体感できるイベント
「リモート職場旅行」では他の多くのオンライン旅行と同じく、WEB会議・ビデオ通話ツールの「ZOOM」が用いられる。代表的なプランとしては「横浜・中華街」「台湾&占い体験」「ヨーロッパ・エジプト」などがあり、「横浜・中華街」であれば、ガイドが利用者に代わって中華街を生中継で散策しつつ、グルメリポートやお勧めの店の紹介、中国伝統芸能ショーの紹介などを行ってくれる。利用者のもとには予め「旅のしおり」や中華街ゆかりのこだわりのグルメセット(グルメセットは希望に応じて変更可能)が届けられ、それらを楽しみながらイベントを満喫できる。さらに事前に氏名や生年月日を知らせることで、中華街のお楽しみの一つとして知られる「占い」も実体験できるなど、部屋にいながらにして現地を「体感」できるのが魅力だ。

【魅力2】双方向のコミュニケーション
「そうは言ってもガイドが観光地を巡るシーンを見るだけの旅番組のようなものでしょ」と思うなかれ。業界では「オンライン体験・旅行」がスタートして日が浅いこともあって、利用者が「視聴者」にとどまっているサービスも多い中、同社では「旅行参加者」として楽しめるイベントづくりに注力。ツアー中は現地ガイドや参加者間の双方向コミュニケーション・発言・チャット参加の機会が盛り込まれ、利用者が“参加者”として旅を満喫できるのだ。

【魅力3】演者をサポートする裏方たち
利用者がイベントを存分に楽しめるのは、ガイドや添乗員役となる「演者」たちの努力の賜物でもあるが、裏方となるスタッフ陣の支えによるところも大きい。裏方となるスタッフたちはイベント中、演者が参加者を楽しませることに集中し、パフォーマンスの質を下げないようにと、さりげなくサポートしている。シナリオの中で、「盛り上がりそう」「盛り下がりそう」な箇所も予測し、その場面場面での対策を複数用意して進行しているという。

2109CE特集-リモート旅行(図1)

【魅力4】細かく練られたシナリオ
リアル旅行では旅行者自身が動くことで情景が見え、景色が変わり、現場ならではの臨場感があるが、バーチャル旅行でそうした臨場感を再現するのは非常に難しい。そこで同社は、まずストーリーを構成し、秒・分単位で細かく管理されたシナリオをつくり、BGMなども交えつつ、視覚・味覚・聴覚に気を配った演出を行い、臨場感・非日常感を創出すべく制作している。さながら映画やドラマを制作しているようなイメージだ。ちなみに同社では企画・撮影・編集・音声・アフレコなどのほとんどの作業を社内で内製化しており、急なオーダーにも対応できることも強みの一つだ。

【魅力5】アナログ要素と、非日常感を大事にしたレクリエーション
豊富なレクリエーションも「リモート職場旅行」の大きな魅力だ。オンライン上で行えるレクリエーションは数多あるが、最新アプリやシステムを導入するのではなく、リアル社員旅行で行うようなアナログ要素が強めなレクリエーションを提案。年代や性別を問わずに楽しめつつ、バーチャルのオンラインツアーだからこその楽しみ方も重視して構成している。そのため利用者は職場仲間との共通体験を味わいつつ、コミュニケーションを活性化させたり、チームワークを強化させたりできる。

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【魅力6】興味がない人も惹き付け、楽しんでもらうべく日々討議を重ねる
こうしたサービスの根底にあるのが、「何が楽しいのか、喜ばれるのか」を最大公約数で考えて企画する姿勢だ。一般の個人参加型オンラインツアーでは、利用者が旅行先に興味を持った状態で参加しているが、職場旅行の場合、全員がその旅行先に興味を持っている状態で参加しているとは限らない。そのため、「オンラインツアーイベント途中での離席(離団)を防ぐにはどうすることがベストなのか」を普段から社内で討議。さらに利用する企業・団体の社風・カラー、当日の参加スタイル(個別参加、または一か所に集まり大画面で参加など)により、シナリオ進行や演出を変えるよう、努めているという。

【魅力7】企画者である幹事に寄り添う
「リモート職場旅行」では「幹事に寄り添う」姿勢も忘れない。職場旅行の代替案としてイベントを企画する幹事は、経験のない“オンラインでの社員旅行”を実施することへのプレッシャーを感じているケースが少なくない。そのため親身に寄り添いつつ、参加率が高くなりそうな方向性や演出をアドバイスするなど、企画段階から密にサポートしているのだ。

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「リモート職場旅行」誕生秘話

 コミュニケーションが希薄になった企業のために旅行会社ができること
2020年に起きたコロナ感染拡大により、企業はリアルな職場旅行を実施できなくなった。県外や遠方への移動制限がかかり、世間ではマイクロツーリズムを強く推奨されるようになった中、『旅コレクション』は「人はなぜ旅行するのか」という意義から改めて問い直し、「強い目的意識を持った時ほど、人は遠くても移動する」との結論を得たという。また、移動をせずに体験できる「バーチャル旅行」に着目。「ZOOM」を利用し、PCやスマホ、タブレットさえあればどこからでも参加できるバーチャル旅行を「職場旅行」として行えば、リアル職場旅行では参加しにくい環境にあった利用者たちの参加のハードルを下げられると考えた。
「職場旅行」とすることで、企業や従業員たちに寄与できる要素もあった。リモートワークが普及する中で、従業員間のコミュニケーションが希薄になるといった課題を多くの企業が抱えている。「リモート職場旅行」はそんな現状に対し、離れていてもコミュニケーション活性化が図れるツールとなり得ると考えたのだ。

モニターツアーで好評を博し本格始動
そして同社は他社企画のオンラインツアーも体験しつつ、「無料で利用できるテレビやYouTube動画の旅番組と差別化するには、どのような付加価値を付けたら良いだろう」「八方塞がりとなった旅行業界で、今の私たちにできることは何だろう」との意識を持って問題に取り組んだ。そこで自社からも徒歩圏内にあり、神奈川県内でも人気の高い観光地・横浜中華街に着目。「行列してでも占いを体験したい」という客層が存在することや、グルメの街・中華街から厳選した料理をお届けすることでさらに臨場感を増す演出ができるという観点から、実験的に中華街オンラインツアー企画の実施へと踏み出したという。

ただ、「旅行=移動をする」が当然と考えていたため、果たしてバーチャル旅行が受け入れられるのか、当時は自分たちも半信半疑でした。(荒井社長)

実際に2020年8月にモニターツアーの「横浜中華街オンラインツアー」を実施したところ、予想を超える好反応を得ることができた。この好反応を受け、元々職場旅行に特化した「職場旅行.com」を展開していた強みも加味し、団体向け貸切プランのツアー企画「リモート職場旅行」を推し進めていったのだ。

共通体験により、一体感を生み出す
バーチャルな旅を演出していく中では、苦労することもあった。たとえば映像や音声の質が、参加者側のインターネットやデバイスの環境により異なって感じられること。WEB会議システムゆえ、毎回何かしら多少のトラブル(映像・音声の不具合)が生じてしまうのだ。
バーチャル旅行が未体験となる人がほとんどで、できたばかりの市場であるため、価格への相場観が定まらない点も課題だった。その中では「利用者に、オンラインツアーの内容をどれだけイメージさせられるか」が鍵と考え、利用者の理解を得てもらうべく努めた。
また、コロナ禍で利用者同士がなかなか会えない状況にあることに鑑み、オンラインツアー中のレクリエーションを通した「共通体験」を組み入れるシナリオ構成にすることで、「一体感」が感じられるような演出を重視し、満足度の高いイベントを創出していった。

もうひとつ忘れてはいけないのが、自社内のチームワークです。当社はオンラインツアーのプロジェクトチームを組み、都度、依頼主様ごとに合わせた企画を社内で相談、試行錯誤しながら、より良いものを作り上げています。テレワーク100%の企業様や介護施設・病院など、利用する企業・団体の社風、会社のカラー、当日の参加スタイルによってシナリオ進行や演出を変えるよう、努めています。(荒井社長)

「リモート職場旅行」今後の展望

2021年には1~3月にかけ、神奈川県の観光事業として、「丹沢・大山オンラインツアー」の企画・運営・ツアー実施も手掛けたという『旅コレクション』。神奈川県には海・山・川と魅力的な観光地がたくさんある。中華街を取り上げる中で「地元のために」との想いも強くなっていたという同社は、引き続きオンラインツアーを通して全国へ神奈川県の魅力を届け、応援したいと考えている。
また、エジプトやバングラデシュなどなかなか赴きにくい地域や、参加が難しいイベントに対するニーズがあることも分かり、旅行の下準備として活用する「旅マエ」を目的とする市場が膨らんでいることに、同社のスタッフ自身、驚いているという。今後は神奈川県・丹沢大山オンラインツアー、観光協会と協力しての「神奈川県の魅力再発見シリーズ」、『エクマットラ』とコラボ企画中のバングラデシュ・チャリティ企画、個人・少人数向けの中華街占い体験ツアー、一般の旅行・新婚旅行などの旅マエ・予習ツールとしての活用を考えている。
また、高齢者の方々や介護施設の利用者さんなど実際に旅行へ行けない方々のための活用、インバウンド向け誘客ツールとしての活用、懇親会、歓迎会、送別会、忘年会、新年会などの交流イベントとして活用、福利厚生としての活用、家族会や同窓会などオンライン帰省としての活用、婚活パーティーなど、幅広い方面に展開していく構えだ。

「オンラインツアーって何?」と今でもよく聞かれます。オンラインツアー未体験の方はまだまだ多く、なかなかイメージしづらいのが現状。当社ではそのような方のために、モニターツアーの相談も承っております。9月には無料モニターツアーも実施するので是非参加してみて下さい。そして、参加してみて興味が湧けば、是非ご利用いただければと思います。リアルな社員旅行手配でも実績がありますので、双方でご利用いただけると幸いです。(荒井社長)

2109CE特集-リモート旅行(図4)
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